ケリー・リンク著『プリティ・モンスターズ』2019年11月01日 18:17

15年 4月22日読了。
 短編集。可愛らしくてグロテスクで愚かしくて愛おしくてどこかユーモラス。奇妙さでは「マジック・フォー・ビギナーズ」が突出しているが、俺は「パーフィルの魔法使い」が好きだ。結末にカタルシスがあるからであろう。開放され切らない面白さも判るんだけどね。ショーン・タンの挿し絵が入っていて得した気分。

『柴野拓美SF評論集 理性と自走性──黎明より』2019年11月02日 21:36

15年 4月28日読了。
 現在から見ると少し頑な感じがする。自分の理想とするSFのイメージがあって、そこから外れて行く物は容赦なく批判する。周辺的な多様性は積極的には認めず、ジャンルに取って良い影響がある物のみを渋々する評価するという感じ。本来何でも取り込み融合しようとする傾向のあるSFという分野の活動としては狭量にも見えるが、それは現在からの視点である。
 その頑さは未だ日本に根付いていない新しい分野の黎明期に於いて、しっかりした土台作りをしなければならないという使命感と焦りに依る物であろう。おそらく同じような使命感と焦りは福島正実という人にもあっただろう。ただ、理想のSFイメージその物と影響力の行使の仕方が違っていたのではないか。著者の主張する集団理性や文明の自走性といった制御不能の事共と、そういった頑さの矛盾が面白い。

アンディ・ウィアー著『火星の人』2019年11月03日 18:41

15年 4月29日読了。
 面白かった。火星に独り取り残された男のサバイバルを描く。エンターテインメントだが悪人は一人も出て来ない。敵は火星の自然環境である。過酷な環境にあってもユーモアを忘れない主人公の人格設定が良い。決して諦めないのだが、米国冒険物にありがちなマッチョで暑苦しい「不屈の闘志」ではない軽やかさがある。
 そしてこれは翻訳者の手柄だろうが、それを描く文章が素晴らしい。特に台詞と一人称部分。通俗的だが下品に成らない。出来事の深刻さに比べて読後感は軽いが、それもエンターテインメントとしては欠点ではあるまい。映画化が進行中らしいが、寧ろこの文章の軽やかさがなくては内容が重くなり過ぎないだろうか。
 面白かったのでどうでも良い事だが、この面白さはSFというよりサバイバル小説の物ではなかろうか。現在存在しない超科学技術も登場しない。柴野拓美ならどう評するであろうか。主人公が地球の事を思い出したり、仲間との繋がりの深さを表す挿話がもっとあれば結末の感動はもっと大きくなったのではなかろうかとも思うが、それも重いか。
 個人的には火星に持ち込まれた有機物(人間含む)に混入していたであろ細菌達が、食料生産のための土作りに立派に役立つのがちょっと愛おしかった。

『ちくま日本文学全集 大岡昇平』2019年11月04日 21:18

15年 5月 2日読了。
 非日常の極限状況におけるサバイバルという点で「野火」と『火星の人』は同じだななどと思う。「一寸法師後日譚」はちょっと面白かった。

映画『スペースバンパイア』2019年11月06日 01:38

15年 5月 3日視聴。
 マチルダ・メイのヌード他には見るべき物は余りない。そのせいか、二度目の筈なのに内容は何も覚えていなかった。そのヌードも完璧過ぎて綺麗だとは思うがあんまりすけべじゃない。美術品ぽい。そう言えば、『キャット・ピープル』を見た時も、ナスターシャ・キンスキーのヌードは筋肉質で格好良いけどあんまりエロくないと思った。