法月綸太郎著『ノックス・マシン』 ― 2019年06月01日 21:53
14年 5月29日読了。
ミステリを題材にした短篇SF四篇。「バベルの牢獄」は再読だが、最初に『NOVA』で読んだ時は仰け反った。「論理蒸発」は理論物理学をミステリの形式に当て嵌める類感呪術的アイデアが楽しい。
ミステリを題材にした短篇SF四篇。「バベルの牢獄」は再読だが、最初に『NOVA』で読んだ時は仰け反った。「論理蒸発」は理論物理学をミステリの形式に当て嵌める類感呪術的アイデアが楽しい。
ジエイムズ・S・A・コーリイ著『巨獣めざめる』上下 ― 2019年06月02日 21:02
14年 5月31日読了。
軍事サスペンス。面白い。登場人物が皆魅力的で活き活きと描かれている。全体的な構成としては必ずしも巧いと思わないが、緊迫感の盛り上げが巧でページを捲る手を止めさせない。この分野で谷甲州と比肩し得るような作品は少ない。
軍事サスペンス。面白い。登場人物が皆魅力的で活き活きと描かれている。全体的な構成としては必ずしも巧いと思わないが、緊迫感の盛り上げが巧でページを捲る手を止めさせない。この分野で谷甲州と比肩し得るような作品は少ない。
ルイ・クロード・ド・サン=マルタン著『クロコディル 一八世紀パリを襲った鰐の怪物』 ― 2019年06月03日 21:04
14年 6月 4日読了。
叙事詩的な文体と演劇的構成のせいもあり少々滑稽な印象を受けるが、著者は太真面目に自らの世界観、人間観を盛り込んだ神秘主義哲学小説。一八世紀フランスの書物。革命直後のパリというのは世の中全体が「とんでも系」であったのだろう。へんてこりんな現象が次々と起き、もっとへんてこりんな理論的(?)説明が付いている。ちょっと楽しい。
叙事詩的な文体と演劇的構成のせいもあり少々滑稽な印象を受けるが、著者は太真面目に自らの世界観、人間観を盛り込んだ神秘主義哲学小説。一八世紀フランスの書物。革命直後のパリというのは世の中全体が「とんでも系」であったのだろう。へんてこりんな現象が次々と起き、もっとへんてこりんな理論的(?)説明が付いている。ちょっと楽しい。
アルベルト・ルイ=サンチェス著『空気の名前』 ― 2019年06月04日 21:26
14年 6月 5日読了。
どうやら北アフリカらしい漁港の街。事件らしい出来事は何も起こらない。最後まで起こらない。しかし主人公の少女の内部では嵐が荒れ狂っている。南国の物憂い気怠さと猥雑な活力が奇妙に両立している。少女の内面の空虚さと欲望の濃密さに対応する物か。解説などでは散文詩のような文章という事が強調されるが、俺はそれほど興味を引かれなかった。原文のせいか、翻訳のせいか、俺のせいかは判らない。
どうやら北アフリカらしい漁港の街。事件らしい出来事は何も起こらない。最後まで起こらない。しかし主人公の少女の内部では嵐が荒れ狂っている。南国の物憂い気怠さと猥雑な活力が奇妙に両立している。少女の内面の空虚さと欲望の濃密さに対応する物か。解説などでは散文詩のような文章という事が強調されるが、俺はそれほど興味を引かれなかった。原文のせいか、翻訳のせいか、俺のせいかは判らない。
中村融編『ファンタスティック時間SF傑作集 時を生きる種族』 ― 2019年06月05日 21:19
14年 6月 6日読了。
時間SFアンソロジー。T・L・シャーレッド「努力」が短篇ながら力作。六十年以上前の作品だが、人間は歴史から何も学ばない事が良く判る。ミルドレッド・マリンガーマン「緑のベルベットの外套を買った日」は余りにも軽いが、その軽さも含めて良い。
時間SFアンソロジー。T・L・シャーレッド「努力」が短篇ながら力作。六十年以上前の作品だが、人間は歴史から何も学ばない事が良く判る。ミルドレッド・マリンガーマン「緑のベルベットの外套を買った日」は余りにも軽いが、その軽さも含めて良い。
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